一言で「ECを強化する」といっても、ただシステムやサイトをリニューアルすれば良いわけではありません。
「『マールブランシュ』には実店舗を長年ご利用いただいているお客様も多く、ECにおいてもお客様との関係性を高め、価値のあるショッピング体験を提供しなければなりません。さらにバックヤードでも、食品を扱うメーカーならではの課題がありました」
ロマンライフ社が抱えていた課題は、大別すると以下の6つになります。
[1]地域色の強いブランド展開
ブランディングという点において、ECは難しい。地域の限定性が強い商品はその特徴が失われるし、デザインやUIを工夫しないと、実店舗に近いWEB接客は実現できない。
[2]ECと生産との連携
こだわりのお菓子は、一日に生産できる量に限りがある。物流についても実店舗とECでは異なる仕組みを構築しなければならない。
[3]実店舗とECの連携
ネットとリアルの融合を実現するには、これまで主流だった実店舗とECをより効果的に連携させなければならない。
[4]賞味期限・配送温度帯
デリケートな食品を扱うEC事業者は、配送方法にも気を配らなければならない。
[5]ギフト対応
ギフト系商品の販売において、大手モールや通常のASPカートシステムは、細かな要望に応えているとは言い難い。
[6]個別カスタマイズ可能な自社サーバインストール型のECパッケージであるがゆえの課題
このようなECパッケージで作ったシステムは、構築時点は最新だが、ローンチした直後からどんどん時代遅れになっていく。機能を追加・改修するにも、社内にエンジニアがいない、要件をまとめるリソースがないなどによって、膨大な時間とコストがかかり、市場に置いて行かれてしまう。
これら全ての課題を解決するため、ECサイトの再構築には、クラウド型ASPの「aishipGIFT」を採用いただきました。
[1]地域色の強いブランド展開
「京都ならではのお菓子を全国展開することの是非は、社内でも常に議題に挙がるポイントです。ECやギフトで当社のお菓子を知っていただき、そして京都にお越しになった際に、実店舗に立ち寄っていただく。この循環が生まれれば、ブランドを損なうことなくEC展開ができると考えました。そのために京都を感じられるサイトデザインはもちろん、UI/UXについても優れたものを提供する必要がありました」
サイトの隅々までデザインカスタマイズできる自由度の高いCMSを備える「aishipGIFT」により、ブランドの世界観を正確に表現。
クリエイティブ面だけでなく、ユーザーの要望が複雑になりがちなギフト向けの熨斗設定や商品を複数のお届け先にスマホでも簡単に指定できるなど、ユーザが迷いにくく注文しやすいカートステップとUIにこだわり、ECサイト全体をスマホファーストで設計、レスポンシブデザインで構築をしました。
[2]ECと生産との連携
「賞味期限の問題や、その日ごとに出荷できる数量が違うため、一日単位で在庫数を厳密に管理する必要がありました。ロジスティクスについては、当社はもともと小売の流通網がベースとしてあったので、それをECに応用しました」
基幹システムと注文データをリアルタイムで自動連携。商品ごとに異なる製造日数を考慮して、出荷日基準でのリードタイム設定を実現しました。
さらに出荷日ごとに販売上限数を管理する機能や、商品ごとの出荷場所指定機能など、商品特性に合わせて詳細に設定も可能にしています。
[3]実店舗とECの連携
「お客様の利便性を高めるために、ECと実店舗の会員情報をシームレスにつなぎ込み、CRMを強化したいと考えていました。例えば購買履歴をひとつのマイページで閲覧できたり、ポイントを一元管理したりということが要望として挙がりました」
実店舗とECの購入履歴を統合、ポイントも一元化したことに加えて、これらのデータはCRMツールとリアルタイムで連携できるようにしました。
[4]賞味期限・配送温度帯
「商品を適切な状態でお届けするため、冷蔵便・冷凍便・常温便を使い分けています。さらには品質管理のために、常温品を夏場だけ冷蔵便で出荷するなど、システム上でも商品ごと、時期ごとに設定する必要がありました」
商品ごとの冷凍・冷蔵・常温の三温度帯設定はもちろん、季節によって温度帯の変更を登録できるようにしたり、温度帯、出荷場所によって問い合わせ伝票番号を分割するなど、繊細な洋菓子を適切な状態でお届けできる環境を整備。
季節限定商品は、販売期間を指定できるようにしたり、システムはヤマト運輸のサービスレベルに準拠しており、配送先住所ごとに配送可能期間を制御することもできるようになりました。
[5]ギフト対応
「当社商品はギフトの需要が非常に多く、売上の7割を占めています。そのため、一度の購入で複数の配送先を指定するなど、ギフトならではの機能が必要になります。
また、ギフト用途のお客様は『絶対に失敗したくない』という想いが強く、より具体的にイメージできるものを求めています。当社は熨斗やパッケージにも力を入れていますので、それが画面上でも分かるようにしたかったのです」
注文時にリアルタイムで熨斗のデザインや入力された文字を表示する機能により、ユーザーが購入時にイメージしやすいように設計。
また、ひとつの注文で複数の配送先を設定できるようにするなど、ギフトの細かなニーズに応える仕様を作り上げ、ギフトユーザーが使いやすいよう工夫しました。さらに熨斗をCSVデータで一括印刷できるようにするなど、バックオフィスの運用改善も実現しています。
これらの機能は、既存のカートシステムではまず実現不可能、できたとしても莫大な改修コストがかかる可能性があります。
[6]個別カスタマイズ可能な自社サーバインストール型のECパッケージであるがゆえの課題
「リニューアル以前は自社サーバインストール型のECパッケージでECサイトシステムを運用していました。旧ECサイトのリリース当時はシステムベンダー様に要件を細かくお伝えして、自分たちの“想い”がたっぷり詰まったショップが完成したと思います。
ですが、その後のECシステムメンテナンスが大変でした。
構築時点ではシステムは最新ですが、EC機能の最新要求や要件をまとめられるリソースがなかったためどんどん時代遅れになっている印象でした。
自社所有のシステムでは少しの機能改修でも膨大な時間とコストがかかり、市場に追従する最新のECシステムの提供ができないという課題がありました。
常に最新機能が無償バージョンアップされ、必要な部分のみ機能カスタマイズできるクラウド型のものを探していた時にaishipGIFTと出会いました」
今回はクラウド型のプラットフォームを採用したことで、月2回の無償バージョンアップにより、常に最新機能が使用できるようになりました。自分たちの要件とよくマッチングし、さらに必要な部分のみ追加機能カスタマイズができる「aishipGIFT」はぴったりでした。